Toshiko becomes devoted to the Christian church so is disowned by her Buddhist parents. Morio is the oldest child of an original house and a childhood friend, so isn’t the husband Toshiko daydreamed about. Mori was an apprentice tailor and had to be patient in his work. Morio’s father and older brother had shown extraordinary dissipation and have to hand over to others the house– so people speculated they wanted to do the marriage quickly. A relative came back from his service for the wedding but had tuberculosis, died on the wedding day and was enshrined. The aunts wanted to go on with the wedding. It was torture to see people waiting on the embankment.
Mori went home a little ahead and then fetched his new wife who was crying. In her new home she would earnestly wait for his return. He persuaded her to go out they saw the train to Hiroshima and heard its steam whistle. Toshiko was still timid but went down to the port to see the ships put in at the side of the land and at the pier. She began to get a glimpse of the world and would start to wander around. It was as if the interference and supression she had suffered kept under a lid lifted off.
Toshiko had the first baby but it was a breach birth and the baby did not make a new born’s cry so the midwife slapped its bottom.
Toshiko is taking the children in a pram when she sees Christian missionaries. They go to a tent with a light inside and she asks to repent from her sins, and begs to God. It leaves a strong impression on her. Church is a place to heal people who worry. When she was taught Buddhism by her parents she learnt that when she would die she would go to hell and this fear could not be wiped away.
帰依・きえ・embrace, devotion
勘当・かんどう・cut off, disown
本家・ほんけ・original house
幼馴染・おさななじみ・childhood friend
仲立ち・なかだち・go between
夢想・むそう / daydream
辛抱・しんぼう・patience, endurance
並外れた・なみはずれた・out of the ordinary
放蕩・ほうとう・dissipation
長兄・ちょうけい・oldest brother
人手に渡る・ひとでにわたる・fall into anothers hands
思惑・おもわく・speculation
肺結核・はいけっかく・tuberculosis
奉公・ぼうこう・service
安置・あんち・enshrine
急遽・きゅうきょ・hurridely
伯母さん・おばさん・aunt
土手・どて・embankment
苛む・さいなむ・torture
一足先・ひとあしさき・just before
新妻・にいづま・new wife
ひたすら・earnestly
汽笛・きてきsteam whistle
接岸・せつがん・touching the shore, coast
波止場・はとば・pier, quey
おどおど・timid
うろつく・wander, prowl
干渉・かんしょう・interference
抑圧・よくあつ・supression
逆子・さかご・breech birth
産声・うぶごえ・new born cry
産婆・さんば・midwife
垣間見る・かいまみる・catch a glimpse
乳母車・うばぐるま・pram
灯・ともしび・light
悔い改める・くいあらためる・repent
乞う・こう・beg
感銘・かんめい・impression (emotional)
悩む・なやむ・worry
癒す・いやす・heal
幼少・ようしょう・infancy
拭う・ぬぐう・wipe
embrace, devotion
cut off, disown
original house
childhood friend
go between
daydream
patience, endurance
out of the ordinary
dissipation
oldest brother
fall into anothers hands
speculation
tuberculosis
service
enshrine
hurridley
aunt
embankment
torture
just before
new wife
earnestly
steam whistle
touching the shore, coast
pier, quey
timid
wander, prowl
interference
supression
breech birth
new born cry
midwife
catch a glimpse
pram
light
repent
beg
impression (emotional)
worry
heal
infancy
wipe
Friday, October 17, 2008
Saturday, October 4, 2008
途中下車
いまから十三年前、私は友人と二人して、ある私立大学を受験するため上京した。というより、上京するため確かに東京行きの列車に乗ったのである。世の受験生と同様、私たちもまた幾分[1]の不安と心細さ[2]を抱いて、窓外[3]の景色[4]を眺めていた。そんな気持ちを和め[5]ようとして、自然に口数だけは多くなっていった。ところが、京都から乗り込んできたひとりの女子高生が私たちの隣の席に座ったことで様相[6]は一変[7]した。めったにお目にかかれないほど[8]美人だったからである。私も友人も何となく態度が落ち着かなくなり、口数も減っていった。友人が意を決して[9]その女子高生に話しかけたのは静岡[10]を過ぎてからであった。彼女は京都の大学を受験して、伊豆大仁(おおひと)に帰る途中だった。友人はそっと私に耳打ちした[11]。
「伊豆の踊り子やなあ・」
なぜ踊り子なのか判(わか)らなかったが、私は、うんうんとうなずき[12]返した。彼女もだんだんうちとけてきて[13],三人が無事に受験に成功したら、再びどこかで逢ってお祝い[14]をしようなどと言い出した。そして私たちの心を散々[15]乱したまま、艶然[16]たる微笑[17]を残して三島で降りてしまった。
「俺、もう東京の大学なんかやめにして、京都の大学を受けようかな。。。」とまんざら[18]冗談でもなさそうに友人は呟いた[19]。
「俺もさっきから考えてたんやけど、ことしは受験しても多分落ちると思うわ。一年浪人して、じっくり実力[20]をつけて、来年にそなえた[21]ほうが賢い[22]」
私もまた本気でそう言った。話はあっさり[23]決まった。私たちは親からもらった東京での宿泊[24]を伊豆の旅にまわすことにして、そのまま熱海でおりてしまったのだった。何とも親不孝な息子であった。そしてこれが私の人生における最初の途中下車であった。私たちはいい気分で伊豆の温泉につかり[25]ながら、大仁のどこかにいるであろう美しい女子高生を思った。住所も電話番語も教えてもらっていたが、私たちはその紙きれを見つめる[26]だけで何もしなかった。三日後、いかにも[27]試験を受けてきたような顔をして家に帰った。
それから半年たった頃、友人の父が死んだ。彼は家業[28]の運送[29]店を継ぐ[30]ために、進学を断念[31]した。
私はといえば、受験勉強などそっちのけ[32]で、小説ばかり読み漁っていた[33]。だが、二人の心の中から、列車で知り合った女子高生の面影[34]は消えなかった。私たちは逢うとその話ばかりしていた。彼女が京都の大学に受かったのかどうか気になって仕方がなかった。ある日、ジャンケンで負けたほうが、彼女の実家に電話をかけようということになった。私が負けて、ダイヤルを回すと、ちょうど何かの用事で京都から帰って来ていた彼女が出てきた。無事試験に合格し、丸太町の親類[35]の家に下宿[36]しているのだという。
「ところで、あなた、二人のうちのどっち?」と彼女が訊いたので、私はほんの冗談のつもりで、友人のほうの名を言った。しばらく考えてから彼女はこう囁いた[37]。
「逢うのなら、あなたと二人だけで逢いたいな。」
私は黙りこくった[38]まま、じっと[39]電話をにぎりしめていた。そしてそのまま電話を切った。もっとうまい方法があったはずなのに、十八歳の私は打ちひしがれて[40]、ほかにどうしていいのか判らなかったのである。
「なあ、どうやった?どない言うとった?」
友人は目を輝かせて何度も訊いた。私は嘘をついた。彼女は受験に失敗して勤めに出ている、もう電話などしないでほしい、そう言ってガチャンと電話を切られたと説明した。
「ふうん、見事にふられたなあ。」友人はペロリと舌を出して笑った。
このことは、いつまでも私の中から消えなかった。生まれて初めての失恋[41]が、私の心に傷を残したというのではない。私は自分の付いてきた数多くの嘘の中で、この嘘だけを決して自分でも許すことができなかった。私がいまそれを文章にできるのは、にっくき恋敵[42]であるその友が、交通事故で死んでからもう十年もたったからである。
[1] 幾分・いくぶん・ to some degree, somewhat
[2] 心細さ・こころぼそさ・ loneliness, helplessness
[3] 窓外・そうがい・ outside, through the window
[4] 景色・けしき・ scenery, landscape
[5] 和む・なごむ・ be soothed, be comforted
[6] 様相・ようそう・ aspect, phase
[7] 一変する・いっぺんする・ transform, change completely
[8] 滅多に...ない・まったに。。。ない・ seldom, rarely
[9] 意を決す・いをけっす・ decide your will
[10] Place name
[11] Xに耳打ちする・Xにみみうちする・ whisper to X
[12] うんと頷く・うんとうなずく・ nswer with a nod
[13] 打ち解ける・うちとける・ loosen up, come out of ones shell
[14] お祝い・おいわい・ congratulations
[15] 散々・さんざん・ severely, terribly, badly
[16] 艶然と・えんぜんと・ seductively
[17] 微笑する・びしょうする・ smile
[18] 満更・まんざら・ not altogether (e.g. manzara joudan – not altogether joking)
[19] 呟く・つぶやく・ mumble, mutter
[20] 実力・じつりょく・ ability
[21] 備える・そなえる・ prepare, provide for
[22] 賢い・かしこい・ clever, wise
[23] あっさり・ easily, readily
[24] 宿泊・しゅくはく・ lodging
[25] 浸かる・つかる・ be submerged
[26] Xを見つめる・みつめる・ to stare at X
[27] いかにも・ emphasis phrase
[28] 家業・かぎょう・ household chores
[29] 運送・うんそう・ transport, carriage
[30] Xを継ぐ・Xをつぐ・ succeed to X
[31] Xを断念・だんねん・ to give up
[32] そっちのけ・そっちのけ・ neglects
[33] 漁る・あさる・ forage, hunt for
[34] 面影・おもかげ・ image, vestige, remnant
[35] 親類・しんるい・ relative, relation
[36] 下宿する・げしゅく・ lodge, stay or live in
[37] 囁く・ささやく・ whisper
[38] 黙りこくる・だまりこくる・ lapse into silence
[39] じっと・ holding still, keeping quiet
[40] 打ちひしぐ・うちひしぐ・ crushed, broken
[41] 失恋・しつれん・ unrequited love
[42] 恋敵・こいがたき・ love rival
「伊豆の踊り子やなあ・」
なぜ踊り子なのか判(わか)らなかったが、私は、うんうんとうなずき[12]返した。彼女もだんだんうちとけてきて[13],三人が無事に受験に成功したら、再びどこかで逢ってお祝い[14]をしようなどと言い出した。そして私たちの心を散々[15]乱したまま、艶然[16]たる微笑[17]を残して三島で降りてしまった。
「俺、もう東京の大学なんかやめにして、京都の大学を受けようかな。。。」とまんざら[18]冗談でもなさそうに友人は呟いた[19]。
「俺もさっきから考えてたんやけど、ことしは受験しても多分落ちると思うわ。一年浪人して、じっくり実力[20]をつけて、来年にそなえた[21]ほうが賢い[22]」
私もまた本気でそう言った。話はあっさり[23]決まった。私たちは親からもらった東京での宿泊[24]を伊豆の旅にまわすことにして、そのまま熱海でおりてしまったのだった。何とも親不孝な息子であった。そしてこれが私の人生における最初の途中下車であった。私たちはいい気分で伊豆の温泉につかり[25]ながら、大仁のどこかにいるであろう美しい女子高生を思った。住所も電話番語も教えてもらっていたが、私たちはその紙きれを見つめる[26]だけで何もしなかった。三日後、いかにも[27]試験を受けてきたような顔をして家に帰った。
それから半年たった頃、友人の父が死んだ。彼は家業[28]の運送[29]店を継ぐ[30]ために、進学を断念[31]した。
私はといえば、受験勉強などそっちのけ[32]で、小説ばかり読み漁っていた[33]。だが、二人の心の中から、列車で知り合った女子高生の面影[34]は消えなかった。私たちは逢うとその話ばかりしていた。彼女が京都の大学に受かったのかどうか気になって仕方がなかった。ある日、ジャンケンで負けたほうが、彼女の実家に電話をかけようということになった。私が負けて、ダイヤルを回すと、ちょうど何かの用事で京都から帰って来ていた彼女が出てきた。無事試験に合格し、丸太町の親類[35]の家に下宿[36]しているのだという。
「ところで、あなた、二人のうちのどっち?」と彼女が訊いたので、私はほんの冗談のつもりで、友人のほうの名を言った。しばらく考えてから彼女はこう囁いた[37]。
「逢うのなら、あなたと二人だけで逢いたいな。」
私は黙りこくった[38]まま、じっと[39]電話をにぎりしめていた。そしてそのまま電話を切った。もっとうまい方法があったはずなのに、十八歳の私は打ちひしがれて[40]、ほかにどうしていいのか判らなかったのである。
「なあ、どうやった?どない言うとった?」
友人は目を輝かせて何度も訊いた。私は嘘をついた。彼女は受験に失敗して勤めに出ている、もう電話などしないでほしい、そう言ってガチャンと電話を切られたと説明した。
「ふうん、見事にふられたなあ。」友人はペロリと舌を出して笑った。
このことは、いつまでも私の中から消えなかった。生まれて初めての失恋[41]が、私の心に傷を残したというのではない。私は自分の付いてきた数多くの嘘の中で、この嘘だけを決して自分でも許すことができなかった。私がいまそれを文章にできるのは、にっくき恋敵[42]であるその友が、交通事故で死んでからもう十年もたったからである。
[1] 幾分・いくぶん・ to some degree, somewhat
[2] 心細さ・こころぼそさ・ loneliness, helplessness
[3] 窓外・そうがい・ outside, through the window
[4] 景色・けしき・ scenery, landscape
[5] 和む・なごむ・ be soothed, be comforted
[6] 様相・ようそう・ aspect, phase
[7] 一変する・いっぺんする・ transform, change completely
[8] 滅多に...ない・まったに。。。ない・ seldom, rarely
[9] 意を決す・いをけっす・ decide your will
[10] Place name
[11] Xに耳打ちする・Xにみみうちする・ whisper to X
[12] うんと頷く・うんとうなずく・ nswer with a nod
[13] 打ち解ける・うちとける・ loosen up, come out of ones shell
[14] お祝い・おいわい・ congratulations
[15] 散々・さんざん・ severely, terribly, badly
[16] 艶然と・えんぜんと・ seductively
[17] 微笑する・びしょうする・ smile
[18] 満更・まんざら・ not altogether (e.g. manzara joudan – not altogether joking)
[19] 呟く・つぶやく・ mumble, mutter
[20] 実力・じつりょく・ ability
[21] 備える・そなえる・ prepare, provide for
[22] 賢い・かしこい・ clever, wise
[23] あっさり・ easily, readily
[24] 宿泊・しゅくはく・ lodging
[25] 浸かる・つかる・ be submerged
[26] Xを見つめる・みつめる・ to stare at X
[27] いかにも・ emphasis phrase
[28] 家業・かぎょう・ household chores
[29] 運送・うんそう・ transport, carriage
[30] Xを継ぐ・Xをつぐ・ succeed to X
[31] Xを断念・だんねん・ to give up
[32] そっちのけ・そっちのけ・ neglects
[33] 漁る・あさる・ forage, hunt for
[34] 面影・おもかげ・ image, vestige, remnant
[35] 親類・しんるい・ relative, relation
[36] 下宿する・げしゅく・ lodge, stay or live in
[37] 囁く・ささやく・ whisper
[38] 黙りこくる・だまりこくる・ lapse into silence
[39] じっと・ holding still, keeping quiet
[40] 打ちひしぐ・うちひしぐ・ crushed, broken
[41] 失恋・しつれん・ unrequited love
[42] 恋敵・こいがたき・ love rival
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